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【社員インタビュー】介護の末、父の最期を見送った私。仕事と介護を経験して得た新たな価値観

エイチームは多様性ある社員が仕事とプライベートを両立し、長期的に安心して働けるよう支援する制度として「ファミリーサポート制度」を2017年に導入しました。育児や介護をする社員の働く時間の選択肢を拡大、企業主導型保育所の利用、特別休暇の付与などの支援を行っています。
今回は、2回にわたり、働きながら家族の介護を経験したスタッフに話を伺い、ワークライフバランスや多様な働き方について考えます。

エイチームの介護制度
社員が長く安心して働ける職場環境支援制度「ファミリーサポート」に「介護支援制度」が2019年2月に加わりました。
 
介護支援制度概要
国が定める介護支援の仕組みに加えて、エイチームとして必要である4つの介護支援制度を追加しています。

エイチーム コーポレート部門 人材開発部 川田 亜都沙さん
2016年6月、エイチームに中途入社。総務システムグループにてバックオフィス業務を担当する。2021年11月に人材開発部に異動し、中途採用業務を担当。現在は、新卒採用業務も兼任中。


家族と私のライフスタイルの変遷

エイチームに入社した2016年当時は、父、母、弟、私の4人で通勤時間50分ほどの実家で暮らしていました。その後、家族と生活スタイルが合わなくなってきたこともあり、会社に近い名古屋市内で一人暮らしを始めたんです。
 
今から5年ほど前の2019年から一人暮らしを始めたのですが、ちょうど同じ頃に父の膀胱がんが見つかり、手術や通院に付き添うために実家に帰る機会が増えました。ただ、病気が見つかった時点では重い病状ではなかったため、そこまで深刻に捉えてはいませんでした。
 
その後、がんの再発が見つかり、病気の進行に伴って実家に帰る頻度が増えていきました。そういった経緯で名古屋市内と実家の往復が負担になってきたため、実家の近くに引っ越しをしました。今も、その家で暮らしています。

父の介護が始まった

父が膀胱を摘出。家族のサポートをする機会が増えた

父の病気が発覚した時点では病状がそこまで深刻ではなかったので、時折会社に半休をもらって通院に付き添う程度でした。ただ、何度かがんの再発を繰り返していくうちに膀胱を摘出することになり、そこから父のサポートをする機会が増えていったと思います。
 
人工膀胱のケアが必要なため、訪問看護の方にも来ていただいていました。新型コロナウイルス感染症が流行していた時期でもあったので、買い出しなどは私が中心となって行っていましたね。しかし、この時点では父もまだ自由に動ける状態でした。2021年頃のことです。

2022年にがんが再発

私の介護が一番現実的になってきたのは、父が膀胱を摘出した翌年のことです。2021年に膀胱を摘出する手術を受けて、再発予防のために化学療法も受けていましたが、1年もたたないうちにがんの転移が見つかりました。
 
その頃から、父の介護をしていくことが私にとっても現実的なものになっていきました。

自宅で父との最期の時間を過ごすことに

2022年からは受けられる治療の選択肢が少なくなり、抗がん剤の治療に専念することに切り替えました。いくつかの抗がん剤を使い、一時的にがんの進行を遅らせることができましたが、最終的には抗がん剤も効かなくなってしまいました。
 
そんな中、2023年の4月、父が余命宣告を受けることとなりました。父に残された時間は、「3ヵ月」でした。私たち家族の中では、終末期は緩和ケア病棟で過ごそうという合意が取れていたのですが、余命宣告があってすぐにがんの腸管転移による腸閉塞が起きて、入院しなければならなくなってしまいました。
 
状態が落ち着いた頃、医師から「緩和ケア病棟に移るか、自宅に帰るかをもう一度家族で話し合った方が良い」という話があり、父と何度か話をしたところ、父にとっても思い入れのある自宅に帰りたいという意思を聞けたため、私たち家族は父と自宅で時間を過ごす決断をしました。
 
自宅で看護、介護をするとなったら、訪問看護や訪問ドクターの方などいろんな方がサポートしてくださいました。「いよいよ家族だけで父のケアができなくなったら、緩和ケア病棟に移ろう」と思っていたのですが、会社も含め多くの方が私たち家族をサポートしてくださり、結果的に父が亡くなるまで自宅で過ごすことができました。
 
2023年5月~7月という短い期間でしたが、周囲の方々のサポートのおかげで、家族揃って自宅で父の最期の時間を過ごしました。

仕事と介護との両立

仕事が社会とのつながりを作ってくれた

私の場合、父が3ヵ月の余命宣告を受けていたこともあり、ある程度「終わり」が見えていたので、介護休暇の取得ではなくフレックスタイム制を活用した働き方を選択しました。
 
完全にお休みをもらう介護休暇の取得ではなく、働きながら介護する点でよかったことは、仕事が気晴らしになるということです。気晴らしと言うと表現が悪く聞こえてしまうかもしれませんが、介護をしているとプライベートの時間を持つことが難しく、関わる人が、家族と、訪問看護師、訪問ドクターのみと限られた人間関係になってしまいます。
 
仕事をしていると社会的なつながりが生まれるので、社会の動きを知りながら生活ができる、孤独を感じずにいられるという部分で、仕事に助けられましたね。

時には休息も必要、家族と助け合う介護体制

日々の介護と仕事でくたくたな毎日でした。「さすがに休まないと無理だ」と思った日に関しては、母や弟に対応してもらっていました。メインの介護者が私だったこともあり、介護は私を中心に動いていたのですが、他の家族からもサポートを受けながら介護を乗り切りました。

エイチームで働きながら介護することについて

周囲のことも考えて、自分をオープンにした

働きながら介護をするにあたって、職場のメンバーにプライベートの事情を話すことに関しては、ハードルはありませんでした。もともと職場のメンバーとは何でも話し合えるような関係性ができていましたし、特に直属の上司には介護のことはしっかり伝えることができていました。他のメンバーにも小出しに状況を伝えていて、理解を示してくれていました。
 
普段からの関係性もあったので、私にとっては「仲間に自分の状況を共有する」というような感覚でした。協力する側からしても、相手の状況が分からないとどう協力して良いのか分からないと思い、自分の状況をしっかり知ってもらおうと思っていました。
 
私の中でこういった意識が芽生えたのは、以前働いていた部署での経験に基づいています。私が以前所属していた管理部では、産休や長めのお休みをいただくメンバーが数名いて、どちらかと言うと私はサポートする役回りでした。そういう時に相手の状況を分かっていることで自分も働きやすくなった経験があったので、今度は自分が助けてもらう側になったときに、自分の情報をたくさん出すことで周囲の人たちが少しでも仕事をしやすくなってほしいという想いで情報共有をしていました。
 
「すべてはお互い様」だと思っているので、私が誰かに助けを求めるタイミングもあれば、他の人が私に助けを求めるタイミングもあると思います。そこはお互い助け合いが必要ですし、助け合いやすいように普段からコミュニケーションをしっかり取り、必要な時にヘルプサインを出すことが大切だと思います。これは介護だけではなく、すべてに共通して言えることだと考えています。

業務の標準化は大変だけど大切だと実感

業務の工夫に関しては、上司や同僚と密なコミュニケーションを取ることに加え、役割分担を決めたりマニュアル化をしたりすることで、引き継ぎをスムーズに行えたと思います。中途採用の業務に関して、私だけに属人化している業務も少しあったので、介護が必要になる以前から業務を標準化していこうという動きをしていました。具体的には、業務の棚卸をして、マニュアルを作り、冗長化していました。
 
業務の標準化という作業は大変なものではありますが、普段から地道に続けていたこともあり、私が父の介護で勤務の状況が通常と変わったときにとても役立ったなと思います。

介護の経験を経て

父の介護を経て変わった価値観

家族が病気ではなかったときは、何の心配もなく仕事に全力をつぎ込むことができていて、充実した仕事生活を送ることができていました。介護を通して、仕事へのやる気はあるのに100%の力を割くことができないという状況に、悔しい気持ちやメンバーへの申し訳なさも感じたりしました。
 
いったん介護が終わり、もう一度フルタイム勤務に戻ったときに、「フルタイムで働けるありがたみ」を再発見しました。仕事に打ち込めることが自分にとってはとてもありがたく、仕事に打ち込める環境をともに作ってくれる職場のメンバーや、自分を支えてくれる家族や周りの人へも感謝の気持ちを持つようになりました。
 
家族に対しては、コミュニケーションを取ったりお互いを気遣う機会が増えたかなと思います。父が病気になるまではみんな元気だったので、「誰かがいなくなること」を想像していませんでした。しかし、人間ですので病気になることもあれば、寿命を迎えて亡くなることもあるという現実を改めて身をもって実感しました。こういうこともあり、家族に対しての感謝の気持ちは普段から伝えるようになりました。
 
また、家族写真なども定期的に撮った方が良いかなと思います。写真は思い出として振り返りやすいツールですし、十年後でも二十年後でも見返したときに優しい気持ちになれるので、皆さんぜひ家族写真を撮ってほしいなと思います。

これから介護をする人へ

介護は「これが正解」という決まりはありません。なぜなら体調や病状、誰がメインで介護をするかなど、その人が置かれる状況は千差万別だからです。ただ、今の世の中には様々な福祉や医療のサポートの制度もありますし、エイチームでも「介護支援制度」が導入されています。様々な選択肢をしっかり悩んで吟味して、選び抜いた答えが私は正解だと思っているので、これから介護をする方には、家族と大切な時間を過ごすために自分にとって一番いいと思う選択をしてほしいです。
 
最後になりますが、周囲の方は、介護をしている方に声をかけてあげて欲しいと思います。私が父の介護をしている時、エイチームの仲間や友人からちょっとした励ましの言葉をもらう機会があったのですが、一言でも「大変だね」、「頑張っているね」などの言葉をもらうだけでとても嬉しかったです。相手を気遣いすぎて声かけをすることにもハードルを感じてしまうかもしれませんが、肯定してもらえるだけでも心の支えになるので、是非気負わずに声かけをしていただけるといいかなと思います!



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