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主役のメンバーと組織をデザイン!自己成長を後押しする1on1の秘訣とは

エイチームの1on1をご紹介する本シリーズの上司編の後半です。前半のコラムでは、上司の立場で数多くの1on1を実践してきたM.F.さんは1on1は未来の話をする場として活用していると語りました。一方で、たくさんの苦い経験を経て、信頼関係を構築する現在のスタイルに行きついたと言います。後半のコラムでは、組織デザインにおいてなぜ1on1が有用なのかについてお話ししてもらいました。

1on1ミーティングの主体者はメンバーである

特別な時間にするために「聞かない」ことを決意

スペシャルティがあるものにするために、1on1を「自分のための時間にしない」と決めました。上司は現場のことを詳細に把握するために、メンバーに根掘り葉掘り聞きたくなってしまう傾向にあると思います。

しかし、特別な時間=1on1の機会に普段の業務を根掘り葉掘り聞くのは、マネージャーとして日常を見ていない証拠です。また、メンバーからレポートが上がって来ていない状況にあるとも言えます。1on1を特別な時間にするために、自分からは「業務の話は聞かない」と決めたのです。

メンバーの時間にするためにアジェンダ作成を依頼

「自分のための時間にしない」とは「メンバーの時間にする」ことと同義です。メンバーに主体者になってもらうために、アジェンダをつくってもらうようにしました。1on1の時間にどんな話がしたいのかをメンバー自身に考えてもらい、ミーティングの前日に提出してもらうようにしました。アジェンダをつくってもらうようになってから、メンバーが話す内容も変わってきました。

「今、こういうことを考えているんですけど、その壁打ち相手になってください」「自分にはこんな課題感があるんですが、M.F.さんが考える課題感はまた違ったものですか」など、フィードバックを求めるものが増えたように思います。

新卒メンバーを対象にしたアジェンダ作成前の振り返り

アジェンダの作成をお願いするのは、入社して1~2年が経過したメンバーです。新卒は人によってお願いすることもありますが、基本はアジェンダ無しからスタートします。

初回は自己紹介。まずは私のほうから経歴やプライベートの話まで赤裸々に語ります。その後、メンバーに自己紹介をしてもらうという流れです。翌週からは振り返りが中心。一週間でうまくいったこと、うまくいかなかったことを挙げてもらいます。その上で、うまくいかなかったことをうまくいくようにするためにはどうすべきか?についてディスカッションします。これを繰り返していくと、振り返りの習慣ができます。

うまくいったこと、うまくいかなかったこと、うまくいくためにすべきことを自分で考えられるようになってからアジェンダをつくってもらうようにしています。ただ、近年の新卒は優秀なメンバーが多く、最初からアジェンダをつくってもらうケースも増えてきました。

メンバーと共に進める組織デザイン

主体者であることを意識してもらうことを目的に「一緒に組織をデザインしていこう」と話すこともあります。現場にいるのはメンバーです。組織デザインは私よりもメンバーへの影響が大きいです。

こうした考え方は、デザイナーの組織マネジメントを担当したときの経験から生まれています。私はエンジニアですので、デザイナーのことはよくわかりません。とにかくみんなの意見がほしい、教えてほしい、という状況だったのです。デザイナーたちから意見を聞きながら組織をデザインしていった経験が現在の1on1にも活かされています。

メンバーとのコミュニケーションで心がけていること

自分の経験、答えは過去のものという前提

1on1の場では、できるだけ答えを思い浮かべないようにしています。随分前の話ですが、「明らかにこちらの話を聞く気がない。自分が言いたいことを言おうとしている、こちらの意見を否定、批判しようとしているのが伝わってくる」とメンバーから指摘されたことがあるんです。それ以来、自分では答えを出さずに、メンバーと一緒に考えようというスタンスに変えました

また、答えを出してしまうと、自分の経験から導き出したものが上限になってしまいます。それを超えるものが出てこなくなってしまうんですね。実際に、私がその時答えを言わなかったからこそ、私の想像を超えるアイデアが出てきた例もあります。今は違うやり方がある、今のベストプラクティスはまた違ったものであるはずだという前提に立つようにしています。

1年のアジェンダを振り返るとメンバーが自分の成長を実感

メンバーが作成するアジェンダ一年分を、メンバーとともに振り返るようにしています。そのときに、メンバーたちは自分の成長を実感するようです。一年前のアジェンダを見て、「しょうもないこと書いていますね(笑)」と恥ずかしそうに振り返るメンバーがほとんど。今の課題、その先の課題に向き合う日々の中では、成長はなかなか実感しづらいです。

一年というスパンで振り返ることで、自分の変化、成長を実感できるのでしょう。そんな場面に数多く立ち会ってきたので、最初のアジェンダに問題があっても何も言わないようにしています。一年後、恥ずかしながらその内容を振り返りつつも、自分の成長を実感するでしょうから。

エイチームと1on1ミーティング

1on1が根づきやすいエイチームの企業風土

今、エイチームには1on1の文化が根づいていますが、もともと根づきやすい風土はあったと思います。経営理念「みんなで幸せになれる会社にすること」「今から100年続く会社にすること」はもちろん、「みんなから必要とされる存在であること」という幸せの定義や“Ateam People”に定められている「お互いを認め合える」といった考えが社内に浸透しています。

また、エイチームでは個人ではなくチームで仕事を進めていきます。相手、他人に関心がある人が集まっている点も、1on1の文化が根づいた要因だと思います。

自然発生的に実施されるメンバー同士の1on1

上司と部下という組み合わせではなく、メンバー同士で1on1を実施するシーンもよく見かけます。例えば、デザイナー同士のスキル面談。あるデザイナーから特定のスキルを持ったデザイナーに対して「スキルを学びたい」と申し出るんです。自分の成長を考えたとき、今の自分に足りないものを持っている人から学び、客観的にフィードバックをもらおうという発想だと思います。

「1on1お願いします」という声がメンバー間で出るようになり、それが部署や事業部を越えて実施されている状況です。私が「1on1募集」を発信する際も、職種、部署、役職関係なく様々な人から応募があります。こうした動きが、会社から働きかけたわけではなく、自然発生的に起こっています。また、エイチームには「今忙しいから」と断る人がいません。お互いにスキルを高め合う意識を全員が持っています。

1on1ミーティングは会社の成長につながる

エンジニアリングとマネジメントの共通点と相違点

以下は、エンジニアならではの考え方かもしれません。スキルや技術が属人的になることのリスクは、サーバに対する考え方に等しいです。サーバが1台しかないと、そのサーバが落ちたときにサービスが立ち行かなくなる、という危機感と同じですね。インフラを作るときは冗長化構成の考え方が必要になってきます。簡単に言うと、複数台に役割を分散したリスク回避です。

また、少し専門的な話ですが、システムエラー等の障害が発生したとき、手あたり次第に調べていくのではなく、最初にあたりをつけてそこから二分探索の要領で絞り込んでいくといったエンジニアリングの思考を、マネジメントでも実践しているように思います。その他、様々な点でエンジニアリングとマネジメントに共通するものを感じています。ただ、技術の場合、何か問題があって手を打ったら、その場で問題が解消されたかどうかがわかります。マネジメントの場合は、人が絡んでくるので、結果がわかるまでどうしても時間がかかる。その点は、大きく違いますね。

1on1ミーティングを通して目指したいもの

繰り返しになりますが、1on1ミーティングがメンバーたちにとって「自己成長のきっかけづくり」になることを意識しています。自己成長の時間にするために、1on1を通して自分をうまく使ってほしいと思っています。それが一人一人の成長、引いては事業、会社の成長につながるはずですから。

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