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【エイチーム×microCMS 社長対談インタビュー】M&Aによる成長戦略の遂行 ー 事業シナジーと今後の展望 ー

国内最大規模(※)の利用実績を誇るヘッドレスCMS「microCMS」を運営する株式会社microCMSが2024年6月にエイチームにジョインしました。このM&Aは、エイチームが掲げる成長戦略である「売上向上支援カンパニー」をさらに推進していくためのものです。本記事では、株式会社エイチーム 代表取締役社長 林 高生と株式会社microCMS 代表取締役 松田 承一との対談インタビューをまとめています。M&Aの背景や目的、両社の事業シナジーや今後の展望について聞きました。

株式会社エイチーム 代表取締役社長 林 高生
1971年、岐阜県土岐市出身。1997年に個人事業としてエイチームを創業、ソフトウェアの受託開発を開始。2000年に有限会社エイチームを設立し、代表取締役社長に就任。2012年4月に東証マザーズ上場後、史上最短の233日で東証一部への市場変更を実現。

株式会社microCMS 代表取締役 松田 承一
ブラジル生まれ千葉県育ち。東京電機大学を卒業後、ヤフー株式会社に入社。ツール系のAndroid / iOSアプリの開発やCTO室にて全社の技術支援を行う。その後スタートアップ企業や大学講師を経て株式会社microCMSを共同創業。著書「黒帯エンジニアが教えるプロの技術 Android開発の教科書(ヤフー黒帯シリーズ)」他


-エイチームとmicroCMS、両社の出会いを教えてください。

林 高生(以下、林):
いま私たちは、成長戦略として掲げる「売上向上支援カンパニー」への変革に向けて、法人向けにデジタル集客や業務効率化などの支援に関わる事業を拡張するためのM&Aを推進しています。デジタルマーケティング領域との相性が良い企業のM&Aを検討するなか、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)からmicroCMS社をご紹介いただいたことが最初のきっかけでした。

松田 承一(以下、松田):
より高いレベルでの成長へ向けて、パートナーとなる会社を探していた中で出会った1社がエイチームです。私は元エンジニアですので、2017年の「Qiita」のM&Aについては当然知っていましたし、林さんが自分と同じエンジニア出身であることも聞いていました。

最初の接点は経営戦略室のメンバーの皆さんとの打ち合わせでした。事業やエンジニア周辺の顧客に対する理解が深く、前向きで建設的な意見交換をすることができましたし、早期の段階で今後の成長に向けた具体的な施策についても提案いただきました。その内容がまさに私たちが求めていたものだったので、非常に良い印象を持ったことを覚えています。

-出会った当初、お互いにどのような印象を持ちましたか?

松田:
林さん、また経営戦略室のメンバーの皆さんとお話しさせていただきましたが、とても話しやすく、フィーリングが合う方が多かったです。名古屋にある本社オフィスを見学したとき、社員の方々が明るくあいさつをしてくれました。社員食堂にも伺いましたが、皆さんの表情が良く、非常に良い雰囲気の中で過ごしている様子も印象的でした。「この会社には良い人が集まっているな」と感じました。

また、経営理念が現場にも根強く浸透している点も印象的でした。エイチームへのジョインを発表した2024年5月に、microCMSの全メンバーを対象としたキックオフミーティングを実施したときのことです。林さん自らが、経営理念に込めた思い、共通の価値観である“Ateam People”や存在意義である“Ateam Purpose”について、とても丁寧にご説明いただきました。

林:
microCMS社には、最高のプロダクトをつくろうというモノづくりへのこだわりを持つ会社だと感じています。スキームがしっかりしていて、そこにフォーカスしてビジネスを展開している会社だと思いました。microCMSは非常に優れたプロダクトで、世の中やユーザーのニーズから生まれたサービスでもある。そのモノづくりのアプローチ方法はエイチームにも共通しています。

UIを見てもセンスの良さが現れています。優秀な人たちが考え、哲学をもって生み出したプロダクトだと思いました。よく「経営哲学が大切」という話をするのですが、いわゆるヒト・モノ・カネそれぞれの哲学、人に対する哲学、モノに対する哲学、お金に関する哲学が大切だと考えています。その中でも特に、人に対する哲学を我々は重視します。
 
その点、松田さんを始め、microCMSの社員の皆様には、人に対する哲学を強く感じます。特にmicroCMSではフルリモートでの勤務や、ドキュメントの文化がしっかりしており、このような環境で成功していくには、強い、人へのマネジメント哲学があるとお見受けしました。

実際、microCMS社が掲げるMissionとValueは、根底に「人」への哲学が強く感じられ、これは我々エイチームの“Ateam People”にも通じるものがあると思っていますし、我々が特に大切にしている「お互いを認め合う文化」にも、近いものを感じます。ぜひ、我々の仲間に加わっていただきたいと、素直に思いました。

-M&Aの目的や背景について教えてください。

林:
新しい成長戦略「売上向上支援カンパニー」を目指すにあたり、集客や業務効率化を支援できるサービスを提供していこうと考える中で、microCMSをQiitaと連携させてエンジニア向けのサービスとしてアピールしたいと思いました。エイチーム、Qiita、microCMSというラインナップから、エンジニアの人たちに安心感を持ってもらいたいとも考えました。

松田:
もともとmicroCMSは、Qiitaで「microCMSの使い方やノウハウ」に関する記事がmicroCMSの利用者であるエンジニアの方々に投稿され、アカウント数を伸ばしてきた背景があります。当社は私を含めた2名で創業したのですが、2人ともエンジニア出身です。microCMSはエンジニア発信のエンジニアに理解してもらいやすいサービスであり、これまではエンジニアに対する口コミだけで成長してきました。それは悪いことではありませんが、営業活動ができていなかったことも事実です。

より大きく成長していくためには営業活動が必要であると考えました。エイチームにはQiitaがあるだけではなく、林さんもエンジニア出身だったことが、エイチームグループにジョインを決めた理由の一つです。

エンジニア出身の方が営業組織も抱えた大きな規模の会社を創り、育て、そして魅力的な企業文化を形成している。当社が営業組織を立ち上げ、また、企業としてより大きく成長していくためにも、大いに参考にさせていただきたいと考えました。そのような点もジョインの理由として大きいのですが、一番の決め手はやはり「人」の魅力です。今回、M&Aの話を進める中で数十社と会いましたが、圧倒的にフィーリングが合うと感じましたし、皆さんの人柄がとにかく魅力的でした。

-共にビジネスを成長させていくうえで、どんなところが強みになるとお考えですか?

林:
現在、当社のクライアント企業は1,400社に及びますが、それだけの企業に対して安定的に価値を提供し、信頼を築いてきた営業組織の存在があります。潜在的なニーズにも応えられるコンサルティング力を備えた営業組織を持っている点はエイチームの強みです。また、Qiitaというエンジニア向けメディアを保有していることも強みだと言えます。

松田:
microCMSはエンジニア向けのSaaSを展開している点が強みです。また、働き方も私たちの強みだと思います。「非同期」と呼んでいますが、全員がフルリモート勤務を実践しています。バリューを大切にする文化があり、モノづくりへのこだわりが強いところも当社の独自性の一つです。全員がプロダクトを磨きこむこと、価値をしっかり提供することに対して高い意識を持っています。

-どのようなシナジーを生み出していきたいですか?

林:
エイチームが掲げる“Ateam Purpose”である「Creativity × Techで、世の中をもっと便利に、もっと楽しくすること」をより広範囲に実現していくことができると考えています。microCMSというサービス自体が、まさに創造性と技術力の塊のようなもの。パートナーシップを組み、ともにビジネスを育てていくことで、“Ateam Purpose”の実現を推進していきたいです。

松田:
これからは「売上向上支援」にもつながっていくことで、microCMSがサービスとして新しい価値を持つことができると考えています。また、エイチームの経営理念「みんなで幸せになれる会社にすること」を広げていきたいとも思います。エイチームや当社が大切にしてきた「良い企業文化」「良い人」といった考え方をより広げていき、クライアント企業はもちろん、日本全体が「幸せ」になるように動いていきたいと思っています。

-M&Aの実施から半年近くが経過しました。現在、どのようなご状況でしょうか。

松田:
売上が順調に伸びています。また、開発や営業組織の整備も進んでいます。開発の組織では技術的負債の返済を行い、開発効率をより上げられる体制が整いました。営業組織の立ち上げも進んでおり、大きな成長へ向けて組織の基盤づくりが着実に進行しています。

今後はサービスの機能をさらに強化したいですし、口コミも加速させたいと考えています。当社とクライアント企業との間にはWEB制作会社がいます。WEB制作会社との関係性を強固にしていくことも課題の一つです。また、価格の改定など、当社とクライアント企業の双方にとって良い形となるビジネスモデルの再検討も進めていきたいです。

林:
エイチームから一人、microCMS社に取締役として参画しています。営業組織の立ち上げに携わっていますが、microCMS社の皆様から、大変良い刺激を受けていると報告を受けています。今後もそのような機会が続くことを期待しています。

松田:
営業活動をしてこなかった我々にとっては心強い存在です。取締役の方以外にも、エイチームから2名の社員に来ていただいています。我々も大変刺激を受けており、きっとうまくいくと信じています。

-これから挑戦したいこと、実現したいことがあれば教えてください。

松田:
これまでmicroCMSのサービスは日本だけで展開をしてきました。将来的には、世界を代表するウェブサービスに育てたいと考えています。その一歩として、まずは日本でさらに売上を伸ばしていきたい。その後、グローバルな市場や競合の情報をリサーチしながら、海外展開を本格化させていきたいです。microCMSはUIがシンプルです。グローバル化にも適したサービスだと思います。

林:
先ほども申し上げましたが、“Ateam Purpose”である「Creativity × Techで、世の中をもっと便利に、もっと楽しくすること」の実現を進めていきたいです。今回、microCMS社にエイチームグループの一員になってもらったことで、それが推進していけると考えています。お互いに共通した価値観を持ち、お互いを認め合える「仲間」としてシナジーを発揮していき、お互いが目指す未来へ進んでいきたいと思います。

(了)

※国内最大級:2023年11月microCMS社調べ。「利用実績」とは、過去に当該サービスを利用した実績がある社数の累計を指します。日本製のヘッドレスCMSプラットフォーム4社を比較。他社データは、2023年11月時点で開示している情報およびQiita等ブログプラットフォームでの関連投稿記事数、Google Trendsの結果、各種SNSでの検索結果の調査より取得。


引き続き、刷新した成長戦略である「売上向上支援カンパニー」への変革に向け、積極的なM&A投資をすすめ、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。


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