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【監査等委員 対談インタビュー】監査等委員(社外取締役)と考える“エイチームのガバナンス”

エイチームは、2023年に監査役会設置会社から監査等委員会設置会社(※)に移行し、その後も中期経営計画で掲げる通りコーポレートガバナンスの強化に取り組んでおります。さらに、2024年10月29日の金子昌史氏の社外取締役就任など、積極的な経営改革を進めています。今回は、監査等委員である3名の社外取締役とエイチームのガバナンスについて考えます。

※監査等委員会設置会社への移行の目的:監査等委員会設置会社への移行の目的は、取締役会の監査・監督機能の強化、権限委譲による迅速な意思決定と業務執行により、コーポレートガバナンスのより一層の充実と経営の公正性・透明性・効率性の向上を図るためとしています。

加藤 淳也氏 エイチーム社外取締役(監査等委員)
弁護士・弁理士

2007年、弁護士登録。2009年、弁理士登録。2013年、エイチームの最初の子会社である株式会社A.T.brides(現:株式会社エイチームライフデザイン)の社外監査役に就任。2015年よりエイチームの社外取締役を務める。(写真左)

山田 一雄氏 エイチーム社外取締役(監査等委員)
公認会計士・税理士

大学卒業後、株式会社セガ・エンタープライゼス(現:株式会社セガ)に入社する。1997年、公認会計士、税理士登録。エイチームの税務顧問を担当した後、2006年に監査役就任。2023年、エイチームの社外取締役に就任。(写真右)

北川 ひろみ氏 エイチーム社外取締役(監査等委員)
弁護士

1996年、弁護士登録。約10年にわたり弁護士として様々な領域に携わった後、現在は企業法務を中心に担当している。2023年、知人の弁護士よりエイチームを紹介される。同年、エイチームの社外取締役に就任。(写真中央)


監査等委員会設置会社への移行に伴う変化

-それぞれの業務内容や役割について教えてください。

加藤 淳也氏(以下、加藤氏):
リスク管理、コンプライアンス、ガバナンスの観点から業務の適正をチェックするとともに、知財関連の領域についても見ています。また、監査等委員会の委員長の立場も任されています。委員会として意見を集約する際などは、そのまとめ役を担っています。

北川 ひろみ氏(以下、北川氏):
2023年10月に監査等委員として社外取締役に就任し、ガバナンスやコンプライアンスの観点のほか、人事労務の観点も意識して職務を行っています。加藤先生や山田先生よりエイチームとの関わりが短いため、知らないことも多々あります。しかし、それ故に客観性があり、新鮮な捉え方をできるのが自分の立ち位置だと考えています。加えて、女性取締役として取締役会の多様性を高める立場としても価値を発揮できればと考えています。

山田 一雄氏(以下、山田氏):
私は会計の処理等について、その処理が適正かどうかを中心に見ています。また、監査法人の業務が適切に行われているかチェックすることを主な目的として、監査法人とのコミュニケーションも行っています。

-2023年に監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行しました。移行後の変化について教えてください。

北川氏:
監査等委員会設置会社に移行した同年に就任しておりますので、変化についてはわかりませんが、スピードが求められていることは感じています。IT業界ということもあり、その点は顕著で、私たちには、限られた時間の中で、迅速な検討と判断を行うことが必要とされています。エイチームは、風通しがよく、フットワークが軽い会社ですので、検討に必要な情報はスピーディに共有し合えるため、適切な判断ができる環境にあると思います。

加藤氏:
移行前と移行後の変化で言うと、監査等委員は監査役とは異なり、取締役会での議決権があります。我々のような監査を行う立場の者が取締役会で議決権を持つようになった点は大きな変化です。現在、取締役5名のうち4名が社外取締役です。そのうちの3名が私たち監査等委員です。我々が経営の意思決定においても重要な役割を担うように変化しました。社外取締役の割合が大きくなり、取締役会はより発言しやすい場になりました。

また、取締役会の前に監査等委員会を行っています。事前に他の監査等委員の方とディスカッションできるので、より理解を深めた上で取締役会に臨めるようにもなりました。

山田氏:
加藤先生がおっしゃった議決権に関することは、私も大きな変化だと感じています。私たちが「経営の中に組み込まれている」と今まで以上に実感できるようになりました。取締役会に加えてホールディングス経営会議に参加するなど、全社的な会議に参加する機会も増えました。

社外の立場として意識すること

-監査等委員として心がけていることはありますか?

北川氏:
私が心がけていることの一つが、中長期の視点で見ること。もう一つは、エイチームの常識やルールを社外の視点から捉えることです。

前者については、エイチームは常に持続的な成長を目指していますし、株主の皆様もそうしたエイチームをご支援いただいているはずですので、必須の視点です。後者については、弁護士としての企業法務の経験から、社内の常識が社外の非常識であるときに不祥事が起きてしまうと感じてることがあります。そのため、エイチームでは常識と考えられていることが社会一般の常識とズレていないか、エイチームに根付いている意識や感覚が社会のルールから外れていないか、そうしたズレについて注意深くチェックするようにしています。エイチームの取締役でありながら、執行側からすれば社外の立場でもあることを自覚して、社会の目を持つように心がけています。

山田氏:
エイチームが上場する前から成長の過程を近くで見てきました。エイチームの社員と長く一緒に過ごしてきたので、私自身のエイチームへの想いは強いです。とはいえ、北川先生がおっしゃるように独立した立ち位置でいなければなりません。社外からの視点を持ってコンプライアンスを重視する立場であることを忘れないようにしています。

加藤氏:
私も同じです。社外ならではの視点を持つように心がけています。社内での検討過程や努力を知っていると社内に気を遣って、疑問に感じたこと、発言すべきことを控えようかとなりがちです。私は監査等委員の責務として、株主やステークホルダーの方々の代弁者にもなり得る立場として、躊躇なく意見を述べることを意識しています。

監査等委員が感じるエイチームの課題

-エイチームの経営目標の未達成や利益不足について、その原因と改善策についてどのようにお考えでしょうか。

山田氏:
エイチームの社風として「チャレンジ精神」という側面があると思います。「やってみよう」という前向きなスタンスは非常に大切ではあります。しかし、それが上手く行かなったときに原因を特定し、次に活かすという面が弱かったように感じます。

2024年9月に策定した中期経営計画では、改めてガバナンス体制を見直し、経営管理の強化を推進することを掲げています。過去の反省点を踏まえ、新たな体制のもと戦略を遂行することで、着実な企業成長を目指していきたいです。また、成長戦略である「売上向上支援カンパニー」への変革やアドバンテッジアドバイザーズ社との事業提携など、プライム上場維持に向けての最近の動きには今までにも増して危機感や変革への強い意志を持っています。ぜひ、今後についてご期待いただきたいと思います。

加藤氏:
昔は売上が右肩上がりに伸びていましたが、今は伸び悩んでおり、それにより利益も昔より芳しくない状況です。理由の一つが既存サービスの成長の鈍化です。かつ、新しいサービスも期待通りの成果には至っていません。

エイチームは企業規模が大きくなってきました。以前はベンチャーマインドを持ってみんなで懸命に前進してきましたが、会社が大きくなると、新しい事業を生み出してイノベーションを起こそうというマインドが生まれにくくなります。この状況を打破するために、今までの強みを活かしながらインオーガニック戦略も取り入れて成長を目指す方針を打ち出しています。今後は、資本力も活かしながら成長していく。こうした戦略を実践するフェーズに差し掛かってきたと見ています。

-新しい成長戦略へ向けて、エイチームはどのように変わるべきだとお考えでしょうか。

山田氏:
過去の成功体験を踏まえて自信を持つことは悪いことではないと思いますが、一方ではこれまでの成功体験に縛られて環境変化についていけてないという面もあったと思います。新しい成長戦略に向けてエイチームの得意な部分を生かしながらも、シビアに数字を見つつあらゆる可能性を想定して挑んでいきたいです。

北川氏:
新しい戦略の中で、例えば、M&Aにより新しい事業を展開することになった場合、これまでの事業と融合させつつ、エイチームらしさを発揮して事業を展開していかなくてはなりません。エイチームにとっては初めて取り組むことも多いと思いますので、それに対して、謙虚に勉強することが大切だと思います。

また、山田先生のご指摘にも関係しますが、新しい事業の評価や検証をしっかりする必要があります。誰しもマイナスの部分は見たくありませんが、私たち監査等委員もしっかりモニタリングをして声を上げていくことが求められていると思っています。

加藤氏:
今、エイチームは変革期を迎えています。複数の案件を同時進行で進めていく中、落とし穴がないかどうか注意深く見ていかないといけません。気持ちで前へ前へと進んでいくのもいいですが、勢いが先に立って見落とすことがないように私たちが監査をしていく必要があると考えています。

エイチームの強みの一つはマインド、企業風土だと思います。そして、林社長を中心とした仲間。みんながチームであることです。今後、M&Aを進めていく中で、従来のエイチームらしさを維持していくのか。あるいは、多少の差異を容認してでも規模を大きくしていくのか。それについての議論も必要になってくると思います。また、根拠をもとにして事前に計画を立て、実行した後にはしっかり検証していくことも大事になります。かつ、それを仕組みとして確立していくことも必要になっていくでしょう。

これからのエイチームに期待すること

-アドバンテッジアドバイザーズ社との事業提携、新しい成長戦略について、皆さんの評価とエイチームへ期待することを教えてください。

北川氏:
今回、とても良い舵の切り方をしたと思っています。アドバンテッジアドバイザーズ社との事業提携と新成長戦略を契機に、エイチームが保有している様々なスキル、経験、そして社員の皆さんのモチベーションを融合して「売上向上支援カンパニー」としての価値を高めていくことになります。エイチームの皆さんは、マインドがボーダーレスでダイバーシティの意識も高いと感じていますので、今後の成長を期待しています。

私たち監査等委員は、新しい事業をどこまで深く見ていけるかという問題があり、透明性を確保していく必要があります。そのため、新しい仲間と対話する機会を増やしていき、監査等委員としての役割を果たしていきたいです。

山田氏:
成長戦略については、成功に向けて正しい道を進んでいると思います。とはいえ、M&Aについては、新しい会社がやって来たからといって必ずしも上手くいくとは限りません。そのあたりはシビアに見ていく必要はあります。

エイチームは林社長が創業した会社。林社長の想いに共感する人たちが集まり成長してきました。そこに、アドバンテッジアドバイザーズ社が加わることで、さらなる成長のドライバーが見込まれています。そして、私たち監査等委員としては、より客観性を確保した状態で経営に対して監督・助言をしていく立場として役割をまっとうしなければいけません。

加藤氏:
新しい成長戦略の評価ですが、これは現時点で答えがあるわけではなく、決めたからには一致団結して遂行していくものだと考えています。その結果上手くいけば、それは成功だったということになります。持ち前のエイチームらしさを発揮しながら、インオーガニック戦略を進めて、成長していきたいと思います。

様々なことが大きく変わっていく中で、変化を社外の立場で客観的にモニタリングしながら、正しい方向で企業価値向上へ向かわせていくことが私たち監査等委員会の役割。社員が安心して邁進できるよう務めを果たしていきたいと思います。


当社グループは、コーポレートガバナンスの強化に取り組みつつ、ホールディングス経営体制の強化を図っております。引き続き、成長戦略である「売上向上支援カンパニー」への変革に向けた経営体制の強化を図り、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

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