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【戦略解説③】キャピタルアロケーションと株主還元(エイチーム:3662)

2024年9月に発表した中期経営計画(FY2025-FY2028)についての解説記事を連載しています。初回は「戦略転換の背景と売上向上支援カンパニー化の道のり」、2回目は「リスク・ボラティリティ低減に向けた取り組み」についてまとめました。

最後となる今回は、財務方針としてのキャピタルアロケーションについての考え方、株主還元方針についてご説明します。

2024年9月6日(金):エイチーム 中期経営計画(FY2025-FY2028)
2024年12月3日(火):資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について
2024年12月3日(火):株主優待制度の新設に関するお知らせ


企業価値向上に向けた具体策

昨年9月に開示した中期経営計画では、計画期間の最終会計年度であるFY2028までの株主還元方針として、総還元性向平均100%、株主還元の総額を40~50億円と発表しました。

その後も、社内で継続的な議論を重ね、同年12月に資本効率の改善に向けた具体的な取り組みについてまとめた「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を発表。またその同日に、株主還元の具体策として「株主優待制度の新設に関するお知らせ」を発表しております。

エグゼクティブサマリー

当社の良質な財務体質の活かし、積極的なM&A投資と株主還元を両立していくことを基本方針としています。非連続な成長を目指しつつ、レバレッジ活用と株主資本の圧縮により資本コストの低減を図ります。本資料の注目ポイントは下記5点です。

  1. レバレッジ活用

  2. 積極的な株主還元により株主資本を圧縮

  3. D/Eレシオの圧縮と資本コストの低減

  4. 成長投資額と株主還元額などのキャピタルアロケーション

  5. 成長投資と株主還元の両立を実現する好循環により企業価値を加速的に拡大

①レバレッジの活用

当社は良質な財務体質を特長としていることから、手もとキャッシュが潤沢であり、現在は約100億円の現金及び現金同等物があります。この約100億円のうち借入は、上場企業の成長投資を行うアドバンテッジアドバイザーズ(以下、AA)社から調達した25億円のCB(転換社債型新株予約権付社債)です。そして、株主資本は約102億円であり、この場合のD/Eレシオは0.3倍となります。つまり、現状としてはレバレッジ活用が不十分な状態です。

結果として、資本コスト(WACC)が高留まりしている状況になっております。現状は、当社の資本コストは6.5%であると認識しております。

②積極的な株主還元により株主資本を圧縮

D/Eレシオを最適化して資本コストを削減するためには、株主資本を圧縮する必要があります。当社としては、資本コストの最適化に向けて、株主還元を通じた株主資本の圧縮を行うことで、資本コストの低減を目指します。

そのために、中期経営計画における計画期間の最終会計年度であるFY2028までには、総還元性向平均100%、株主還元の総額を40~50億円として還元していく方針です。また、配当以外にも、資本効率の向上を図る目的として、機動的な株主還元政策として自己株式の取得についても検討していく方針です。

なお、2024年9月6日の通期決算説明資料で発表している通り、FY2025の配当予想については、1株当たり22.0円を予想しております。

③D/Eレシオの圧縮と資本コストの低減

レバレッジを活用していくこと、積極的な株主還元の実施により株主資本を圧縮していくこと、これらに取り組むことで資本コストを低減する方針です。

当社の資本コストについては、レバレッジの活用と株主資本の圧縮により6.5%から3.5%へ低減できるものと考えております。具体的には、適切なレバレッジ活用、増加資金を成長投資に充当すること、総還元性向平均100%を方針とした株主還元の実施により、キャピタルアロケーションの規律を保ちつつ、投資と還元の両立を目指す好循環を生み出せるものと考えております。

④成長投資額と株主還元額などのキャピタルアロケーション

レバレッジ活用と株主資本の圧縮に向け、キャピタルアロケーションとしてFY2028までに、成長投資としてM&Aに150億円、株主還元に70億円をそれぞれ投下することが可能であると考えております。総還元性向平均100%の規律に則り、利益変動時は還元総額の増減による調整を図る前提として中期経営計画で定める成長投資額と株主還元額を超えて(※)投資が可能になると試算しております。
※2024年9月に発表した中期経営計画では、M&Aによる成長投資額を100億円、株主還元の総額を40~50億円としております。

⑤成長投資と株主還元の両立を実現する好循環により企業価値を加速的に拡大

引き続き、成長戦略である「売上向上支援カンパニー」への変革を図るべく、成長投資として積極的なM&Aを推進していきます。そして、M&Aを活用した利益の拡大を図りつつ、EBITDAの成長に伴い、同時に借入枠の拡大を図ります。そしてまた、その利益をさらなる事業拡大に投資し、成長を促進させていきます。このように、成長投資、利益成長、レバレッジの活用(借入)、この好循環を生み出すことで、企業価値の加速的な拡大を目指してまいります。

流動性の向上に向け、株主優待制度を新設

これまでのご説明の通り、積極的なM&A投資と株主還元の両立を企図しております。株主の皆様さまへの日ごろのご支援に感謝するとともに、当社株式への投資の魅力を高めることで、より多くの皆さまに当社株式を保有していただくことを目的として、株主優待制度の新設を決定しております。

当社株式5単元(500株)以上を保有する株主様(株主名簿に記載または記録された毎月1月末日・7月末日時点の保有者)を対象に、株主ご優待品としてQUOカード(年間合計20,000円)を進呈します。


以上が、エイチームが「売上向上支援カンパニー」として成長していくためのキャピタルアロケーション方針と株主還元策となります。引き続き、持続的な企業価値の向上にまい進してまいります。

IR お問い合わせ先
株式会社エイチーム 社長室 IR担当
E-mail:ir@a-tm.co.jp
ご意見 / ご質問:株主・投資家情報等に関するお問い合わせ

株主・投資家情報:https://www.a-tm.co.jp/ir/
Shared Researchレポート:https://sharedresearch.jp/ja/3662
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本記事に記載されている情報には、計画、経営方針、戦略などには、「見通し情報(forward-looking statements)」を含みます。これらは、現在入手可能な情報から得られた見込み、予測及びリスクを伴う想定に基づく当社の判断であり、実質的にこれらの記述とは異なる結果を招き得る不確実性を含んでいます。それらリスクや不確実性には、業界並びに市場の状況、金利、通貨為替変動といった一般的な国内及び国際的な経済状況が含まれます。

また、本記事は投資勧誘を目的としたものではありません。また、当社は、これらの情報の内容の正確性、安全性、その他あらゆる事項について一切表明・保証するものではありません。

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