本音の暴露大会1on1で大号泣?!自分をオープンにしたコミュニケーションがそれまでの私を変えた
1on1ミーティングをテーマにした連載コラムの最終回です。今回のコラムでは、フォロワーシップを発揮しながら部下として1on1に参加し、その経験をもとに現在では上司としても1on1に関わっているM.A.さんにお話しを聞きました。入社当時に抱いていた1on1に対する考えが、ある出来事をきっかけに大きく変化し、後のキャリアにも影響していく過程を率直に語ってもらいました。
エイチームライフデザイン デザイナー M.A.さん
建築やコンタクトのメーカーでデザイン業務に従事した後、2016年3月にエイチームブライズに入社。以来、結婚式場情報サイト「ハナユメ」のデザインやサイトの改善、結婚式場の日取りをサイト上で予約ができるサービス「HIMARI」の新規立ち上げに携わるなど、デザイナーとして幅広く活躍。昨年、デザイングループのアシスタントマネージャーに就任。現在は、デザイン業務に加えてデザイナーチームやサイトの戦略立案、メンバーの指導・育成、採用業務なども担当している。
※プロフィールと取材内容は、2021年9月時点のものに一部追記
これって意味あるの? 疑念からスタートした1on1ミーティング
1on1ミーティングに感じた戸惑い
今まで勤めた会社では、個人の意見や考えなどを発信する機会があまりありませんでした。上司とのコミュニケーションは「結果の報告だけ」ということも珍しくなく、自分の考えや意見を伝える機会はほとんどなかったですね。
もちろん、1on1の経験もありませんでした。ですから、エイチームに入社して初めて1on1に臨んだときに「何でも話していいよ」と言われて正直戸惑いました。「何を話せばいいんだろう」って。1on1の冒頭で「何のためにやるんですか?」と質問したことを覚えています。
1on1への疑念を持ちながらも気づいたこと
初回の1on1は、ほぼ雑談でした。「どこそこのオムライスが美味しいよ」とか(笑)。その後も雑談が多くて、当時は「果たして業務時間にこんな話をしていて良いのかな?意味あるのかな?」と疑念を持ちながら話をしていました。疑念を持ちながらも、継続していく中で気づいたことがあります。上司と何でも話せる間柄になっていたんです。
困ったことがあったら、1on1を担当してくれていた上司にすぐに相談することができました。1on1を通して些細なことが話せる関係性が築かれていたので、「今、忙しいから聞かないほうがいいかな・・・」といった遠慮もなく気軽に相談できたんです。
1on1ミーティングで号泣、その経験で得たこと
お互いに泣きながら本音をさらけ出しあった1on1
その後、1on1への向き合い方が変わる決定的な出来事がありました。一時期、1on1で業務の報告と相談だけをしていた時期があったんです。上司に伝えるべきことはちゃんと伝えていると自分では思っていました。
しかし、半期の目標の振り返りを行ったときに、上司からのフィードバックが自分の想像していたものと全く違ったんです。それが不満となって顔に出てしまい、上司から「何が不満なのか?」と聞かれました。もうここで言うしかないと思い、正直に本音を伝えました。「自分のことをわかってもらえていないことが悔しい。すごく残念です」と胸の内を素直に伝えました。すると、上司からも本音が返ってきたんです。
お互いの本音による暴露大会はエスカレートし、最終的には「言うべきことを言えてなくてごめんなさい」「言いにくいことを言ってくれてありがとう」と、2人で反省と感謝を伝え合いながら社員食堂の真ん中で号泣しました(笑)この1on1以来、上司との関係性が一気に深まりました。
ぶつかったことで変化した上司との関係
この件で学んだのは、自分の考えは口に出さないと相手には伝わらないこと。そして、こちらが本音で話をすれば、相手も本音で話をしてくれること。当時の私は、どこかに(自分の想いを)察してほしいという甘えがあったと思います。でも、思っていることをちゃんと口にして、自分の弱い部分までさらけ出し受け入れてもらう経験をしたことで、上司への信頼感が高まったように思います。
さらに、本音を言い合える相手として、上司からも信頼されていると感じられるようになりました。また、それまでの上司・部下という上下関係ではなく「パートナー」と思えるような関係性に変わりました。以前は、上司の意見を部下としてただ受け入れるだけでした。この一件があってから、自分から積極的に意見を伝えるようになりましたし、上司も「もっと意見を言ってほしい」とリクエストしてくれるようになりました。
エイチームに入社して習慣化された自責
コミュニケーションがうまくいかなかったことを上司のせいにするのではなく、自然と自責で捉えることができました。前職の頃の私だったら自責で捉えられていたかどうか・・・正直、わかりません。今までの会社では、何かミスがあったとき、誰に責任の所在があるのかを追及するような場面もありました。
エイチームでは、そんなことはありません。一人ひとりが自分に何ができたか、自分は何をすべきだったのかを考えることが習慣化されています。そうした環境に身を置いていたことで、私にも自責で捉える習慣が身についたんだと思います。
実は、エイチームのそんな習慣について最初は違和感があったんです。本気なのかな?みんな偽善じゃないの?って(笑)。でも、みんなが考えるだけじゃなくてちゃんと行動に移しているのを見て、本気であることがわかりました。
信頼関係を築くためにまずは自己開示
上司と本音の暴露大会をしてから、一緒に働く仲間に対しても自己開示をするようになりました。こちらが自己をさらけ出せば、相手もさらけ出してくれます。一緒に力を合わせて仕事を進めていけるよう、まずは自己開示を通して信頼関係を築くことを心がけています。
最初に自分の良い面だけを見せてしまうと、後から悪い面って出しづらいですよね。それに、隠して付き合っていてもいつかわかってしまいますし、隠していることを相手も気づいてしまう。悪い面を隠すのは、むしろ不信感につながってしまうと思うんです。普段から悪い面も隠すことなく、自分の想いや考えを素直に伝えるようにしています。
新規事業プロジェクトにも活かされた1on1の経験
本音のコミュニケーションでチームが活性化
本音のコミュニケーションの大切さは、後に新規事業の立ち上げを担当したときも痛感しました。プロジェクトには様々な職域のメンバーが集まっていましたが人手が十分ではなく、各自、自分の職域を越えた仕事も担当せざるを得ない状況にありました。でも、最初はそれぞれ自分の領域で仕事をするスタンスで、コミュニケーションにもロスが生じていたんです。
そんな状況にあった中で、事業責任者が胸中を明かしてくれました。悩んでいる、と。「みんなの意見が欲しい」「みんなで考えてやっていきたい」と自己開示をしてくれたんです。事業責任者が本音を見せてくれたことで、メンバー間の距離が縮まりました。
事業責任者一人が考えたことがすべて正しいわけではない、自分たちも一緒に考え決めていこうと、全員が声を上げるようになったんです。また、一人ひとりが職域を越えて仕事の幅を積極的に広げるようにもなり、プロジェクトが順調に回り始めました。
長い廊下を歩きながら本音トーク
号泣するほどのレベルではないですが(笑)、プロジェクトチームのメンバーとも本音をぶつけ合いました。
ある日、意見の相違からマーケターと衝突。やりたいことは同じだったはずなんですが、その手段について意見が分かれたんです。でも、いつまでも衝突していては前へ進めません。手段は違っても目指すゴールは同じです。
「ちょっと話をしよう」と2人で廊下に出ました。エイチーム本社の長い廊下を歩きながら意見交換。廊下を3周くらい歩いたでしょうか・・・2人で廊下を歩きながら、お互いの想いを吐露し合ったんです。
お互いを認め合うのがエイチーム
他のメンバーたちはそんな私たちの様子を見て心配していたようですが、最終的には「これでいこう」とお互いが納得できる内容にまとまりました。お互いの意見の良い部分を採用しながらも、同じゴールへ向かう道にたどり着いたんです。
もともと、エイチームにはお互いを認め合う文化があります。たとえぶつかっても「違った意見があったほうがより良いものができる」という気持ちで着地点を探していきます。そんなエイチームの文化も、私たちの本音でのコミュニケーションを後押ししてくれたかもしれません。
上司の立場で考える1on1
まずは相手を知ることから
アシスタントマネージャーに就任してから、上司の立場で1on1を実施するようになりました。部下として参加してきた1on1での経験を踏まえて、私なりに取り組んでいることがあります。
例えば、初対面の場合は相手を知ることから始めます。まずは、入社当時の私が「意味があるの?」と思っていた雑談をします。人生の背景、考え方、趣味趣向などから、“人となり”を知ることが目的です。「どんな子供だった?」と聞くことも多いですね。今の姿からは想像できないような意外な答えが返ってきたりもします。
パーソナルな一面を共有しあうことで、お互いの距離を縮めることができると思っています。まずは相手を知ること。そして、相手をリスペクトすること。そこから始めるようにしています。
受け入れて、理解することで関係を構築
また、相手を否定しないこともマイルールの一つ。最近の口癖は「良いね!」です。
「良いね!」と言って、相手の意見を受け入れるようにしています。相手は自分とはバックグラウンドが違います。自分には刺激的に感じられる意見が出ることもあります。でも、それはその人の意見。まずは受け入れることが大事だと思っています。そして、どうしてそう思うのか、そう感じるのか理由まで教えてもらい、相手のことを理解するよう努めています。
相手に「自分のことを理解してくれる人」と思ってもらえれば、日々の辛いことや悩んでいること楽しかったこともシェアしてもらえますし、上司としてサポートもしやすくなります。
自分では気づけないその人の良い点
「あ、この人ってこんな良いところがあるんだ」という発見ってありますよね。私は、誰かの「自分では気づいていないけど他人から見ると良い点」を見つけるのが好きです。
メンバーのそうした点を見つけて、伝えるようにしています。他者から聞くことで、本人は自信がついたりいずれは強みの一つになるかもしれません。
1on1はメンバーのための時間
以前の私には「察してほしい」という想いがありました。でも、それでは伝わらないですし、わかり合えません。メンバーには自分の経験を踏まえて「思っていることがあるなら、言わないとわからないよ。他人の頭の中までは見えない。想像はできるけど、はっきりとはわからないので教えてほしい」と伝えています。
また、メンバーが自分との1on1で求めていることも教えてもらうようにしています。1on1はメンバーのための時間です。メンバーが叶えたいことを一緒に叶えていきたい。その想いを率直に伝えた上で、自身の役割に徹することを心がけています。
現在の1on1ミーティングとの関わり方
上司として、部下としての1on1
現在は上司、部下両方の立場で1on1に参加しています。今、上司として実施する1on1で特に意識しているのは、メンバーの自律、自走のサポート。メンバーも一緒になって組織をより良くしていけるようにしたいと考えています。そのために、組織をより良くするための考え方や取り組みについて、メンバーの相談相手となってフォローをしています。私自身、同じように上司にフォローしてもらってきました。自分がしていただいたことを受け継いでいきたいんです。
一方、部下として参加する1on1では、現場により近い立場として上司に意見を伝えるようにしています。まだまだ弱音を吐きながら、相談に乗っていただくこともありますが(笑)主にはチームの現状を伝えたり、今の組織にとって最善と思えることを考え提案したりしています。
何のためにやるの?から始まった1on1ミーティング。今ではその大切さを痛感しています。これからも経験を活かしながら、有効に活用していきたいと思っています。