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【戦略解説②】リスク・ボラティリティの低減に向けた取り組み(エイチーム:3662)

前回より、2024年9月に発表した中期経営計画(FY2025-FY2028)についての解説記事を連載しています。初回は、「戦略転換の背景と売上向上支援カンパニー化の道のり」についてまとめました。

2回目となる今回は、中期経営計画の取り組みテーマとしている「リスク・ボラティリティの低減に向けた取り組み」についてご説明します。M&Aを中心とした成長戦略を遂行しつつ、安定的な業績向上を図るための事業運営方針を策定し、実行しております。

2024年9月6日(金):エイチーム 中期経営計画(FY2025-FY2028)
2024年12月3日(火):資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について


リスク・ボラティリティの低減の検討に至るまで

エイチームが「売上向上支援カンパニー」への変革を図るためには、従来の戦略を見直してM&Aを投資の主たる方針にシフトし、戦略の実効性を向上させるためにホールディングス体制の強化を図る必要がありました。

過去のエイチームにおいて、主たる戦略は「継続的な成長が見込めるものの、収益化に時間のかかる事業」と「うまくいけば爆発性のある収益を見込めるものの、当たり外れの大きい事業」を並行して行い、また成功したビジネスモデルを横展開していくことで全体として、成長スピードの向上及び安定性の向上の両立を図る、というものでした。

この戦略は市場の拡大局面では的確に好機をとらえ、エイチームに成長をもたらしましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大や市場の成熟期への移行など、外部環境が大きく変化した局面では、経営資源が分散し、成長の鈍化を招きました。結果として、市場からは「コングロマリットディスカウント」を懸念され、株主や投資家の皆さまには大変なご心配をおかけすることとなりました。このため、我々が今後、株主・投資家の皆さまにご安心して投資判断いただくためには、以下の点に留意する必要がありました。

  1. リスク要因となる投資を控え、適切な投資をコントロール

  2. ボラティリティが大きくなる事業に対しては、安定性を求める

  3. 経営資源を、効率的に配分する機能を持つ

リスク・ボラティリティの低減に向けた具体策

昨年6月より、上場企業の成長投資を行うアドバンテッジアドバイザーズ(以下、AA)社が経営支援に入り、経営戦略の見直し、グループ全体での経営管理・予実管理体制の構築、事業ポートフォリオによる経営管理などを進めています。
売上向上支援カンパニーへの変革に向けた事業提携及び資金調達について【補足説明資料】

AA社との協議の結果、この「コングロマリットディスカウント」への懸念を払拭するものとして、まずはデジタルマーケティング領域におけるメディア(比較サイト等)を中心に「安定的な利益成長」を押し上げ、同時に既存顧客への事業支援サービスの提供拡大を図るためのM&A投資を優先させることにしました。

具体的な方針の1つ目としては、メディアを核として、法人向けサービスで安定成長することです。グループ全体で売上構成比が大きいサービスは「引越し侍」「ハナユメ」「ナビクル」「金融関連メディア」などのメディアです。これらの既存事業であるメディアの安定運営により、売上確保・利益向上を図りつつ、メディアを核としたM&Aによる成長戦略を遂行することで、法人向け事業支援サービスの強化・拡充を図り、リスクを抑えながら安定的な成長を目指します

一方で、既存事業の位置づけと役割、強みや弱みを鑑み、M&A投資が成功するまでの運営方針と投資方針を固めました。

最もボラティリティの高いエンターテインメント事業に関しては、そのボラティリティが全社の売上目標、利益目標を大きく棄損することのないレベルに達するまで、まずは安定した「受託開発を含めた他社との協業の取り組み」を収入源の中心に据えることにいたしました。

また現在は投資フェーズにあたるD2C(化粧品やドッグフードのD2Cサービス)においては、全社利益を圧迫しない範囲で投資判断し、運営していきます。

最後に、これら既存事業の収益維持は、今後の成長戦略において不可欠です。そのために、経営管理、予実管理を親会社であるエイチームホールディングスが、常時把握できる体制を整えることになりました。

この段階で、予実管理される子会社と、投資対象を決定する親会社の役割分担を明確にする必要があり、昨年10月の株主総会における決議を経て経営体制を刷新。AA社より金子氏が社外取締役として就任し、M&A戦略についての知見の提供やホールディングス体制でのガバナンス強化を進めてまいります。

ポートフォリオ経営について

エイチームホールディングスでは、既存事業子会社及びM&Aで獲得したこれからの企業群をポートフォリオにて管理していく予定です。これは投資方針にも影響を与えることになります。

そのためにも各子会社の数値管理、予実管理が素早く把握できる体制を整え、変化を素早く捉え、決断につなげていく予定です。

またターンアラウンド領域に入った事業や、将来有望な市場であってもエイチームでは戦略的シナジーを生み出しにくい事業については、カーブアウトも積極的に選択肢にいれることで、リスクを低減させ、安定成長につなげていきます。


以上が、エイチームが「売上向上支援カンパニー」として成長していくためのリスク要因やボラティリティの低減策となります。引き続き、持続的な企業価値の向上にまい進してまいります。

IR お問い合わせ先
株式会社エイチーム 社長室 IR担当
E-mail:ir@a-tm.co.jp
ご意見 / ご質問:株主・投資家情報等に関するお問い合わせ

株主・投資家情報:https://www.a-tm.co.jp/ir/
Shared Researchレポート:https://sharedresearch.jp/ja/3662
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